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診断の具体例

TGCV 診断フローチャート
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原発性TGCV

症例 30歳代 男性

主訴 呼吸困難,倦怠感,難治性心不全  
現病歴 9歳時の学校健診にてタンパク尿、高CK血症を認め、近医の神経内科に通院した。20歳時にタンパク尿の増悪のために腎生検が施 行され、慢性腎炎が疑われた。このとき、実弟にも高CK血症とタンパク尿が指摘されている。26歳時に左室駆出率の低下が判明し、 カテーテル検査や心筋生検を含む心精査が行われた。心筋病理所見では空胞変性が認められ、蓄積疾患の関与が疑われたが、ファ ブリー病、糖原病は否定され、原因不明の心筋症として拡張型心筋症に準じた治療が開始された。34歳で初回心不全入院となり、 臨床経過、家族歴から筋ジストロフィが疑われたものの、ジストロフィン遺伝子検査では異常を認めなかった。退院後も心不全症状の 増悪を認め、36歳時点で難治性心不全治療目的に、心臓移植適応が検討された。
既往歴 学校健診でタンパク尿,高CK血症(9歳) 家族歴:弟にタンパク尿の指摘あり 
内服歴 フロセミド20mg、トルバプタン11.25mg、ロサルタンK50mg、カルベジロール12.5mg、スピロノラクトン25mg、ピモベンダン5.0mg、 メチルジゴキシン0.05mg、リバーロキサバン15mg、フェブキソスタット40mg、エソメプラゾール20mg
現症 身長 163㎝、体重 53.9kg、BMI 20.9kg/m2、血圧 92/70mmHg、脈拍 80拍/分、胸部聴診では心尖部に汎収縮期雑 音を聴取、呼吸音清。頚静脈怒張なし、下腿浮腫なし、末梢冷感あり。
血液検査 BNP 375 pg/mL、トロポニンT 0.109 ng/ml、クレアチニン 1.35 mg/dL、CK 477 U/L、CK-MM 460 U/L、CK-MB 17 U/L、LDL-C 92 mg/dl、TG 152 mg/dl、HDL-C 28 mg/dl、HbA1c 5.9%

奥村貴裕. 原発性TGCV. Coronary Intervention 17(5): XXX-XXX, 2021 メディアルファ

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特発性TGCV➀ 冠動脈硬化型

症例 50歳代前半 男性

主訴 胸痛  
現病歴 小学生時より肥満を認め、26歳時に2型糖尿病と診断された。35歳時にインスリン治療が導入となり、36歳時に急性心筋梗塞を 発症、経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行された。47歳時、48歳時にもPCIを施行されるも胸痛を繰り返し、51歳時に冠動脈 バイパス術を施行、術後のリハビリテーション先で突然死された。50歳時の冠動脈造影検査にてびまん性の冠動脈硬化を認めた。
既往歴 40歳時に非アルコール性脂肪性肝炎、41歳時に糖尿病性網膜症にて左失明、43歳時に糖尿病性腎症にて透析導入となった。
内服歴 アスピリン100mg、メトプロロール酒石酸塩120mg、ベラパミル塩酸塩80mg、硝酸イソソルビド40mg
ピルメノール塩酸塩水和物100mg、インスリンアスパルト80単位毎食前、インスリングラルギン80単位眠前
現症 身長 169.8cm、BW 78.2kg(BMI 27.1)、内臓脂肪面積 225.2cm2
血液検査 LDL-C 115mg/dl、TG 264mg/dl、HDL-C 37mg/dl、HbA1c 9.6%

Kozawa et al. Diabetes Care. 2019;42(5):983-986.

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特発性TGCV② 冠動脈硬化型

症例 50歳代前半 男性

主訴 胸部圧迫感  
現病歴 37歳時に糖尿病の診断となり、49歳時に糖尿病性腎症のため透析導入を行なった。来院2ヶ月前より労作時の胸部圧迫感を自 覚していたが、透析中に胸部圧迫感を自覚後にショックとなり紹介受診。冠動脈造影ではびまん性冠動脈硬化と#4PD、#6、#9に 有意狭窄を認め、#6に対してPCIを施行した。初回PCI後にOMTを導入するも動脈硬化の進行及び治療部位の再狭窄・再閉塞 を繰り返し、4年間で12回のPCIを必要とし、挿入されたステントは18本に及んだ。その後3枝CABGを施行したが冠動脈病変は進 行し、さらにPCI治療を追加した。TGCVが疑われ、BMIPP洗い出し率の低下および末梢血多核白血球にてJordans異常を認めた ことからTGCVの確定診断となった。
既往歴 糖尿病(37歳)、高血圧症(37歳)、糖尿病網膜症(45歳)、糖尿病性腎症(49歳時 透析導入)
内服歴 アスピリン+クロピドグレル ➡ アスピリン+プラスグレル ➡ アスピリン+クロピドグレル+シロスタゾール ➡アスピリン+チカグレロール
プラバスタチン ➡ アトルバスタチン、ビソプロロール、エソメプラゾール、アルファカルシドール、エボカルセト、炭酸ランタン、デュラグルチド
現症 身長 171.0cm、体重 77.2kg、BMI 26.4kg/m2、血圧 140/88mmHg、脈拍数 74/min
血液検査 BUN 49.9mg/dL、Cr 16.85mg/dL、T-Cho 139mg/dL、HDL 22mg/dL、LDL 53mg/dL、HbA1c 5.6%
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特発性TGCV③ 心筋症型

症例 70歳代前半 女性

主訴 安静時胸痛
現病歴 健診にて左脚ブロックを指摘され他院フォロー中の方。次第に心機能の低下を呈するようになり、慢性心不全として内服加療を行って いたが、呼吸困難を自覚し心不全増悪の診断で入院となった。心エコーではびまん性の璧運動低下、LVEF19.5%、LVDd60.7 mmおよびmoderate MR・TRを認めた。CAGでは冠動脈狭窄は認めなかったが、BMIPP washout rateは0.1%と著明な低下 を認めた。薬剤治療抵抗性であり、非持続性VTや間欠的高度房室ブロックを認めたためCRT-Dを導入した。症状は改善したが、 LVEFは30%台で上げどまっている。
既往歴 糖尿病、 高血圧、脂質異常症
内服歴 サクビトリルバルサルタン、カルベジロール、アゾセミド、スピロノラクトン、ダパグリフロジン、シタグリプチンリン、メトホルミン、ピタバスタチン
現症 身長 158㎝、 体重 51.1㎏、 BMI 20.5㎏/m²、 血圧 116/76mmHg、 心拍数 64bpm
血液検査 TG 84mg/dL、 HDL 49mg/dL、 LDL 95mg/dL、 HbA1c 6.6%

愛知医科大学 中野雄介先生より提供  

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